EVA考察

INDEX 「第2使徒の正体」 「人類補完計画の全貌」 「綾波レイ」 「ロンギヌスの槍」 「セカンドインパクト」 「エヴァの結末」 「追加されたシーン」
第2使徒の正体
今回の映画で、リリスには12枚の羽根があることや、そのリリスが人類という不完全な生命体を産んだこと等、リリスの興味深い謎について幾つか明かされていた。
リリスに羽根が生えていたという説はあるが、その枚数までは何処にも記されていない。普通、羽根といったら2枚か4枚だと思うのだが、リリスには確かに12枚の羽根があった。これはどういうことか。
まず、12枚の羽根と言って一番に思い当たるのが”ルシフェル”である。ルシフェルとは、かつて天使長であったが、神の怒りに触れ、天界から追放されてしまった堕天使のことである。でも、リリス=ルシフェルという説はどの書物にも記されていない。しかし、リリスがアダムと別れてルシフェルと交わっていた。という説ならある。そこで、この説を基本として以下の2つの仮説をたててみた。
<仮説1> 第1使徒=アダム 第2使徒=ルシフェル
神は最初、地球上にリリスという自分たちとほぼ同じ能力を持った生命体を造った。その生
命体は、知恵の実と生命の実を持った完全体であった。(これは使徒と言うより神の分身で
あるから使徒にはカウントしないものとする。)リリスは、まず自分の分身であるアダムを
産んだ。これが第1使徒である。リリスはアダムに生命の実を与えた。それからアダムは使
徒を産んだ。使徒は生命の実だけを持っていた。知恵の実を持つことは神から禁じられてい
たのである。リリスはアダムを産んだ後、神によって天界を追われた堕天使ルシフェルと融
合した。そのルシフェルが第2使徒である。
リリスは第2使徒と交わったあとは、今までのような生命の実を備えた使徒を産むことがで
きなくなっていた。その欠陥リリスから産まれた卵が”黒き月”であり、そこから不完全な
生命体であるリリン=人類が生まれた。人類は禁じられた知恵の実を持っていた。
リリスとルシフェルが融合したことは、神の意志に反することであった。神の意志によると
人類は神と対等の能力を持ってはならない。人類は知恵をつけてはいけなかったのである。
<仮説2> 第1使徒=アダム 第2使徒=リリス
単純に人類が確認した順番に使徒をカウントしていく。最初に人類が発見した使徒は
おそらくアダムとリリスであろう。このリリスは既にルシフェルと融合している欠陥リリスである。
よってルシフェルは数にいれない。そうすると第1使徒はアダムであり、第2使徒はリリスとなる。
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人類補完計画の全貌
エヴァの数多い謎の内、最も大きな謎の一つに人類補完計画がある。この計画にはゼーレ流とゲンドウ流の2種類の異なる計画が存在する。
ここでは、それぞれの計画がどの様な方法で、そしてどの様な結果になるのかを考えてみる。
ゼーレの場合
まず、ゼーレ流の人類補完計画の最終目的は何か。ゼーレは人類をどのような形にしたいのか
を考えてみる。
前回の映画「DEATH & REBIRTH」で語られた人類補完計画の概要は「出来損ないの群体として
すでに行き詰まった人類を、完全な単体としての生物へと人工進化させる計画」である。ここ
で言う「単体」とはいったい何を指すのか。それが今回の「THE END OF EVA...」で明かされ
た「黒き月」である。ゼーレ流の最終目的は、人類を黒き月に還元すること。と言って間違い
ないであろう。
では、人類を黒き月に還元するためにはどの様な方法があるのか。それには、まず人の形をな
くさなければならない。人は自分と他人との区別をATフィールドという壁により隔てている。
ATフィールドは、いわば心の壁である。人の形を無くすということはすなわちATフィールドを
取り除くということである。ゼーレはエヴァシリーズのアンチATフィールドで人が持つATフィ
ールドを中和した。後は人々が心を開けば自動的に生命のスープであるLCLに還元される。
この様にして人類は人の形を無くすことができた。
次に必要な物はLCLと化した人類を導く、いわば「神」のような存在である。ゼーレはこの
重要な役にエヴァ初号機とそのパイロット、碇シンジを選んだ。初号機はこの時すでに知恵の
実(ユイの魂)と生命の実(第14使徒ゼルエルのコア)の両方を持っていて、「神」になる
ための最低条件はそろっていた。あとはその初号機を「神」のレベルまで引き上げてやればよ
いだけである。
ゼーレは、人間が神になるまでの道筋を記した「セフィロトの樹」を使い、初号機を神のレベ
ルまで引き上げ、ロンギヌスの槍でそれを逆さまの樹(生命の樹)に還元させた。(このこと
からロンギヌスの槍は生命体を本来あるべき姿に還元する能力があると思われる。)
そして、人類の未来は初号機のパイロットに委ねられるのである。
ゲンドウの場合
ゼーレ流の人類補完計画の最終目的は「人類を黒き月に還元すること」であったが、ゲンドウ
の目的は何か。アダムとリリスの禁じられた融合により何が産まれるのか。
知恵の実しか持たないリリスと生命の実しか持たないアダムが融合することが何を意味するのか、
これで説明できるのではないか。つまり、リリスとアダムの融合により、 知恵と生命の両方の
実を持つ限りなく神に近い生命体である「神人」が産まれるのである。これは本来、
神のやりたかったことと同じである。
つまり、ゲンドウ流の最終目的は、現在に至るまで間違った道を進んできた人類を、本来進む
はずであった正しい道に軌道修正することである。
しかしそれは、あくまで二次的な、いわば、たてまえ上の目的にすぎない。では本当のゲンド
ウの最終目的はいったい何だったのか。
それは、「ユイにもう一度会うこと」である。
彼女はエヴァ初号機そのものと言ってもよい存在である。この時初号機はすでに知恵と生命の
実がそろっていて神に限りなく近いものとなってしまっていた。ゲンドウがもう一度ユイに会
うためには彼がユイと同じレベルまでたどり着かなくてはならない。その唯一の方法が、リリ
スやアダムと融合し「神人」になることである。これにはレイという媒体がどうしても必要に
なる。だから、あれほどレイを可愛がり、大切にしていたのかも。(ユイのクローンというこ
ともあるけど・・・。)
人類の未来を決定づけるほどの巨大プロジェクトの最終目的は、ただ自分の惚れた女に会うこ
とであった。
それほどまでにゲンドウはユイという女性を愛していたのか?それとも自分の息子のシンジと
同じ様に誰かが側にいないと生きていけない程の寂しがりやなのか?今となっては謎である。
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綾波レイ
履歴
綾波レイ
・エヴァンゲリオン零号機パイロット
・ファーストチルドレン
・IDナンバー 0001−225−09
その他の履歴一切不明。
赤木リツコの話では、どうやら人工進化研究所第3分室で産まれ育ったらしい。レイの肉体は
複数存在しており、そのうち魂があるレイは一人だけである。その肉体が滅びると他の肉体に
魂だけ移動するらしい。実際に魂が宿った肉体は、赤木ナオコに絞殺されたNo.1。第弐拾
参話で第16使徒を取り込み自爆したNo.2。その後、物語に最後まででてくるNo.3の
3人だけである。(No.3は「私はたぶん、3人目だから・・・。」のセリフより、自分が
3人目だということを認識していたと思われる。)
「綾波レイ」の姓「綾波」は旧帝国海軍の特二型駆逐艦「綾波」からとったものと思われる。
この艦は量産タイプであり、同じ設計のものが複数存在した。その内、撃沈されずに残った艦
は一隻しかなかったらしい。これは、クローンである肉体が複数存在したが、リツコによって
破壊されたため、最後には一体しか残らなかった綾波レイと同じ運命である。
クローン実験
かつてゼーレはさまざまなクローン実験を行っていた。クローン実験の目的は人間の手でリリ
ス造ることであった。その実験に必要な細胞のドナーになったのが「ユイ」である。ゼーレは
ユイの細胞を使ってある実験を試みた。
その実験は「リリス」を造ることであった。まず、リリスの卵細胞を取り出し、その細胞から
核を抜き取る。その無核化された卵細胞にユイの細胞から抜き取った核を移植する。そうして
出来た融合細胞を再び、リリスの体内に戻し、リリスに自分の分身を産ませる計画であった。
しかし、知恵の実は神以外に持つことを許されなかった禁断の実であり、そうたやすく複製出
来るものではなかった。リリスから生まれたクローンにリリスの「魂」いわゆる知恵の実が乗
り移ってしまい、コピー元である本物のリリスは、魂の存在しない抜け殻になってしまったの
である。この時のクローンが綾波レイである。ゼーレはその実験の後、抜け殻になったリリス
の顔に仮面を被せ、十字架に張り付けた。
この後も、ゲンドウはゼーレに内密でレイのクローンを何体か造ってみたが、結果は同じでど
のクローンにも魂は宿らなかった。この魂のないレイのクローンは、後にダミープラグとして
利用されるのである。赤木リツコに破壊されるまで・・・。
レイの幻影
THE END OF EVANGELIONのラストシーン(アスカとシンジが横たわっているシーン)で、制服
姿のレイが一瞬だけ現れて直ぐに消える。これは何を意味しているのであろうか。TV版でも
同じ様なシーンがあったが(第壱話でシンジが第3新東京市に着いたとき)この2つは同じ事
を意味していると思われる。
綾波・・・、ここは?
ここはLCLの海、生命の源の海の中。
ATフィールドを失った、自分の形を失った世界。
どこまでが自分で、どこからが他人なのか分からない曖昧な世界。
どこまでも自分で、どこにも自分がいなくなっている静寂な世界。
僕は死んだの?
いいえ。
全てが一つになっているだけ。
これが、あなたの望んだ世界世界そのものよ。
・・・でも、これは違う。
違うと思う。
他人の存在を今一度望めば、再び心の壁が全ての人々を引き離すわ。
また、他人の恐怖が始まるのよ。
いいんだ。
ありがとう。
あそこでは・・・嫌なことしかなかった気がする。
だから、きっと逃げ出してもよかったんだ。
でも、逃げたところにもいいことはなかった。
だって・・・僕がいないもの・・・。
誰もいないのと同じだもの。
再びATフィールドが、君や他人を傷つけてもいいのかい?
かまわない・・・。
でも、僕の心の中にいる君たちは何?
希望なのよ。
人は互いにわかりあえるかもしれない・・・ということの。
好きだ、という言葉とともにね。
だけど、それは見せかけなんだ。
自分勝手な思いこみなんだ。
祈りみたいなものなんだ。
ずっと続くはずないんだ。
いつかは裏切られるんだ
・・・僕を見捨てるんだ。
でも、僕はもう一度会いたいと思った。
その気持ちは本当だと思うから。
これらのセリフから、レイやカヲルは、「人が互いにわかりあえるかもしれないという希望」で
あったと思われる。
シンジが第3新東京市に着いたとき、自分の父に会い、お互いわかりあえるのでは、という希望
があった。好きだという言葉とともに・・・。
また、アスカともわかりあえるのではという希望があった。たとえそれが、見せかけや思いこみ
だとしても、いつかは裏切られると分かっていても・・・。
これらの希望が、シンジに制服姿のレイの幻影を見せたのではなかろうか。
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ロンギヌスの槍
聖槍伝説
十字架にかけられたイエスの脇腹を刺した槍。ロンギヌス(Longinus)はその槍を刺した人物の
名前である。ロンギヌスがイエスを刺した瞬間、天変地異が起こり、これに驚いた彼はキリス
ト教に回心したといわれている。ロンギヌスは目が不自由だったが、イエスの脇腹から流れ出
た血に触れたとたん目が見えるようになったらしい。
後にロンギヌスはカッパドキアのカエサレアで捕らえられ、偶像崇拝に背いたため殺害され殉
教者となったといわれている。
現在「聖槍」は、「それを手にした者は世界征服が可能になる。」という伝説と共にバチカン
をはじめヨーロッパ各地に残されている。
エヴァ世界でのロンギヌスの槍
碇司令、冬月副司令により、2015年に南極より回収された後、ターミナルドグマで十字架
に貼り付けられているリリスの胸に刺された。第15使徒アラエル襲撃の際、碇司令の命によ
り、レイの乗るエヴァ零号機により引き抜かれ、アラエルに向けて投擲される。槍は使徒を貫
いた後、第1宇宙速度で月軌道へ移行したため回収不可能となった。
ゼーレの推奨する補完に槍は必要不可欠である一方、ゲンドウの計画の妨げとなる存在であっ
た。槍が回収不可能になったのはゲンドウの意図したことのように思われる。
後にゼーレはロンギヌスの槍のコピーに成功。そのコピーは、盾と矛の両方の機能を備えてお
り、まさに最強の武器である。回収不可能となったオリジナルの槍は「儀式」の際、エヴァ初
号機により地球に呼び戻される。槍は初号機のコアに深々と刺さり、初号機を生命の樹へと還
元する。
ロンギヌスの槍の真相
THE END OF EVANGELION のキール・ローレンツのセリフ「ロンギヌスの槍を失った今リリス
による補完はできぬ。唯一、リリスの分身たるエヴァ初号機による遂行を願うぞ。」とはどう
いう意味か。ゼーレの補完計画が人類をLCLと化し、リリスの卵である「黒き月」に還元す
るという計画なら、リリスは必要不可欠である。よってリリスか、そのコピーであるエヴァ初
号機が必要になる。
ここで問題なのは、何故ロンギヌスの槍がないとリリスによる補完ができないのに初号機だと
可能なのかという点である。キールのセリフだと「エヴァ初号機にある物が、リリスには足り
ないので、ロンギヌスの槍でそれを補ってやらなければならない。」という解釈になってしま
う。では初号機にあってリリスに無い物とは何か。それは知恵の実である。
考察3:綾波レイのところでも述べたようにリリスの魂はレイに乗り移ってしまったため、十
字架にかけられているリリスには魂である知恵の実が無い。しかし初号機には「ユイ」という
知恵の実が備わっている。リリスに足りない物が知恵の実であるとすると、槍でそれを補うこ
とが出来るのだから ロンギヌスの槍=知恵の実 ということになる。
しかし、禁断の実である知恵の実を、槍に封じ込めたとはいえ、何もしないで放置していると
は考えにくい。それには何か守護のような者が必要なのではないか。神の命により、天使がそ
の守護をしているならば、それに相当する天使はおそらく「智天使(Cherubim)」であろう。
智天使とは天使の第2階級で、エデンの園で生命の樹を守護し、またアダムが再びエデンに戻
ってこないように見張っている天使である。その姿は4枚の羽根、獅子の顔、牛の顔、鷲の顔、
人の顔を持ち、脚には車輪がついているという。
つまり、ロンギヌスの槍とは、無数の知恵の実とそれを守護する智天使が封印された聖槍。と
考えられる。
知恵の実 = 目(瞳)
知恵の実を持つ者には、知恵の象徴である目(瞳)がある。ここでは、いくつか例を挙げてそ
の説を明らかにしていく。
・ロンギヌスの目がみえるようになった。
ロンギヌスが槍を使ってイエスを刺したとき、それまで不自由だったはずの目が見えるよ
うになった。これは槍に封印された知恵の実のひとつが反応したためと思われる。
・エヴァ初号機、弐号機に目がある。
エヴァ初号機はTVで何回か素体の目を確認することができ、(サキエル戦の後や、覚醒
のときなど)弐号機は「まごころを、君に」でエヴァシリーズに惨殺されるときに確認で
きる。これは、初号機には「ユイ」、弐号機には「キョウコ」という知恵の実がある為と
思われる。
・使徒には目が無い。
生命の実しか持たない使徒には目が存在しない。(ここで言う「目」とは完全な「目玉」
のこと。)マトリエル、サハクイエルは瞳ではなく模様。バルディエルには、トウジの母
親をコア化したものが搭載されているため、目がある。第1使徒アダム、渚カヲルには知
恵の実があると思われる。
(アダム、カヲルの知恵の実については、次の考察に掲載予定。)
・エヴァ初号機が生命の樹に還元されたとき、無数の目が初号機に産まれた。
これは、ロンギヌスに封印されていた無数の知恵の実が反応したため、と思われる。
・エヴァシリーズに目が無い。
ゼーレはエヴァのS2機関搭載に失敗している。なのに何故、S2機関搭載型のエヴァシ
リーズを完成することができたのか。前回の失敗は、コア(知恵の実)とS2機関が誘爆
したためと思われる。ならば、コア(知恵の実)が無い状態でS2機関だけを搭載し、ダ
ミープラグ(今回はこれに「カヲル」を使用)でエヴァを制御すれば良いはずである。つ
まり、エヴァシリーズにはコア(知恵の実)が無く、その象徴である目も存在しない。
・リリスに目が生まれた。
レイと融合したとき、リリスに目が生まれた。これはレイと融合する前のリリスは、知恵
の実を持たない抜け殻であるため、目が存在しない。レイの持つ知恵の実と融合して、初
めてその象徴である目が生まれるのである。
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セカンドインパクト
セカンドインパクト
西暦2000年9月13日、南極大陸のマーカム山で起こった有史以来最大級の爆発。
これは海面を数十メートル上昇させ、20億人あまりの人々を死に追いやった。公式に
は『大質量隕石の落下による天災』と発表されたが、その真相は南極で発見された『光
の巨人』に人類が不用意に接触したことにより起こった人為的なものであった。
セカンドインパクトの真相
TV第22話の赤木リツコの台詞
「ヒトは神様を拾ったので喜んで手に入れようとした。だから罰が当たった。それが15年前
せっかく拾った神様も消えてしまったわ。でも、今度は神様を自分たちで復活させようとした
の。それがアダム。」
に基づいて、セカンドインパクトでは一体何が起こったのかを考察してみる。
まず最初の「神様を拾ったので・・」の『神様』とはおそらく知恵と生命の実の両方を兼ね備
えた『リリス』の事であろう。人類はこのリリスを何処か(おそらく南極)で発見し、そのコ
ピーを造ろうとした。
しかし、リリスの魂はコピーの方(綾波レイ)に移ってしまい、リリスは抜け殻になってしま
った。こうして生まれた綾波レイには、リリスの魂は勿論のこと、なんらかの形でS2機関ま
でも備わったと思われる。(TV23話でレイはATフィールドを張っている。勿論人間にもAT
フィールドは存在するが、カヲルのATフィールドを中和して中に侵入出来たのは、アンチATフ
ィールドをレイが放出した為であろう。この様なことを可能にする為にはS2機関が必要であ
る。)
リツコの台詞「・・神様は消えてしまったわ。」はリリスが抜け殻になってしまった事を意味
していると思われる。
では、何故このとき生まれたレイを神としないのか?という疑問がわいてくる。彼女は神にな
るための最低条件である2つの実を両方とも持っている。
しかし、TV第19話のレイの台詞で「もう、駄目かも知れない。」や、映画『まごころを、
君に』でレイの片腕が崩れ落ちたこと等からレイの肉体は不完全なもので、神と同等な存在に
はなり得ないのであると思われる。
次の節の「・・・神様を自分たちで復活させようとしたの。それがアダム。」では人類はどの
様にして神を造ろうとしたのか?
アダムは人類がリリスを発見する以前、まだリリスがルシフェルと融合する以前にリリスによ
り産み落とされたのであろう。
よってこのアダムには生命の実しか備わっておらず、神になる為には知恵の実が必要である。
そこでゼーレが考えたことは、もう一度ユイの細胞を使って、自分たちの意のままになる神を
造ることであった。
まず、レイの時と同じようにして今度はリリスではなくアダムにユイの細胞をダイブさせる。
(このことは、映画『DEATH』の冒頭の台詞「アダムにダイブした遺伝子は、既に物理的融合
を果たしています。」からも読みとれる。)このアダムに知恵の実を融合させてやる。ではこ
の知恵の実は何処から手に入れて、どの様にしてアダムに融合させたのであろうか?
おそらくロンギヌスの槍をアダムに突き刺すことによって、槍に封印されていた知恵の実を融
合させたのであろう。しかし、あの巨大な槍を使うには人間の力で
は不可能であるため、人間の力を超越したものが必要になってくる。おそらく、抜け殻になっ
たリリスを利用したのであろう。
このリリスを『素体』として、その脊髄の部分にエントリープラグを挿入する。この技術は後
にエヴァに反映されるのである。こうして出来たリリスを制御するためにはエヴァと同様に『
チルドレン』が必要である。では、この時のチルドレンは一体誰だったのか?
西暦2000年当時14歳である人物。セカンドインパクトの中心部にいたにもかかわらず、
一人だけ生き残った人物。そう『葛木ミサト』である。
彼女が南極から生還出来たのも、エントリープラグがセカンドインパクト時の爆風からミサト
を守った為である。
つまり、セカンドインパクトとは、人類が自分たちの手で神を造るため、アダムに知恵の実を
融合させたときに起こった人為的災害(人災)の事である。
セカンドインパクトのときの4枚の羽根は、槍の中に知恵の実と一緒に封印されていた天使『
ケルビム』のものであろう。
そして、この時産まれたアダムとユイの細胞と知恵の実が融合したクローンが『渚カヲル』で
ある。(渚カヲルの生年月日がセカンドインパクトと同一日なのは、この為である。)
だが、こうして産まれたカヲルには、アダムより産まれた他の使徒と同様に、アダムに還ろう
とする『帰巣本能』が備わってしまったため、神になることは出来なかったのである。
しかし、ロンギヌスの槍に封印されていた知恵の実の一つがアダムと融合し、アダムは『神』
に限りなく近い生命体になったのである。
加持がドイツから日本に持ち込んだアダムに『目玉』が付いていたのは、この為である。
しかし、ロンギヌスの槍には生命体を還元する能力があるため、アダムは卵の状態になってし
まう。結果的には、ミサトの台詞どおり、『アダムを卵の状態に還元する』ことになったが、
これは2次的なもので、本来の第1の目的は『神を人類の手によって造ること』だったと思わ
れる。
渚 カヲル
ゼーレよりネルフ本部に送られてきたフィフスチルドレン。
生年月日がセカンドインパクトと同一日であること以外は全ての経歴が一切不明である。
コアの交換無しに弐号機と驚異的な数値でシンクロしたり、シンクロ率を自由に変化させ
ることさえ可能にしてしまう。
彼の正体は『第17使徒 タブリス』である。タブリスは『自由意志』を司る天使である。
渚カヲルは庵野監督の持っている自殺願望が形になったものだと言われている。
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エヴァの結末
3つの人類補完計画
以前の考察で2つの補完計画について述べたが、実はもう1つ人類補完計画は存在した。
キール・ローレンツ、碇ゲンドウ、そして碇ユイの計画の3つが存在したのである。
キール・ローレンツの人類補完計画
リリスかそのコピーである初号機を使ってサード・インパクトを起こし、全人類を『黒き月』
に還元するという計画。
ロンギヌスの槍が使えず、リリスによる補完は不可能であるため、キールは初号機を使用した
補完を行おうとする。その時、パイロットの『意志』は邪魔な存在であるため、碇シンジの自
我を崩壊させてからサード・インパクトを起こさなければならない。(ゼーレのセリフ「エヴ
ァンゲリオン初号機パイロットの荒れた自我をもって人々の補完を。」より)
こうする事により、全ての人間の肉体はインパクト時に発生する『アンチATフィールド』に
よってLCLに還元され、他人との区別が無い状態になる。それと同時に魂も同一化する。
要するに、全人類の肉体と魂は完全な単体となり、黒き月に吸収される。これは、黒き月への
完全な還元であると言える。
碇ゲンドウの人類補完計画
リリスとゲンドウが綾波レイを媒体として融合し、さらに初号機をも取り込んで完全な『神』
になろうとする計画。その後、全人類もその神に吸収されるのである。
「全人類の完全な単体化」が目的である様に思えるが、真の目的はゲンドウがユイに会うため
の計画である。
碇ユイの人類補完計画
人類の意志、人類が存在したという証(あかし)を永久的に後世に伝えていこうとする計画。
そのためには、エヴァの中に自分が残らなくてはならない。
エヴァ初号機接触実験時の碇ユイのサルベージ失敗の真相は、事故ではなく、ユイが自分一人
で考えた補完計画であった。
エヴァの中にいれば、たとえ地球をはじめ月や太陽が滅びても永久的に存在し続けることが可
能である。
(ユイと冬月のセリフ「人はこの星でしか生きられません。でも、エヴァは無限に生きられま
す。その中に宿る人の心と共に。たとえ、50億年たって、この地球も、月も、・・・太陽さ
えなくしても残りますわ。たった一人でも生きて行けたら・・・。とても寂しいけど、生きて
いけるなら。」「人の生きた証は、永遠に残るか・・・。」より)
エヴァの結末
キールが自分の計画を成功させるためには、エヴァ初号機のパイロット『碇シンジの意志』が
邪魔であった。これは、シンジの意志により、LCL化した後の人類の方向が変わってしまう
からである。(冬月のセリフ「未来は碇の息子に委ねられたな。」より)
そこでキールは、シンジに精神攻撃を仕掛け自我を崩壊させる作戦を行った。この作戦には最
後の使徒である『渚カヲル』が使われた。その使徒をシンジの手によって消失させることで、
シンジに精神的なダメージをあたえることが出来る。と同時に、最後に残った使徒を片づける
という、まさに一石二鳥の作戦であった。(キールのセリフ「初号機による遂行を願うぞ。」
より)
そしてシンジは、キールの思惑どおり、大きな精神的ダメージを受けてしまい、自暴自棄にな
ってしまう。その時のゲンドウのセリフ「老人達は予定を1つ繰り上げるつもりだ。」の意味
は、本来の「使徒をエヴァで全滅させてから初号機パイロットの意志を消去させる」という予
定を2つ同時に行うと言うことだろう。
もしくは、キールはシンジがカヲルを消したその時点でサード・インパクトを起こすつもりだ
ったとも考えられる。
もしかしたら、キールはシンジが戦略自衛隊に殺された場合は、魂(意志)の存在しないカヲ
ルのダミープラグを使って初号機のコントロールをすると言う2段構えの作戦を考えていたの
かもしれない。
途中まではキールの計画どおりに事が進んだ。初号機パイロットの自我崩壊、サード・インパ
クトの始動、人類のLCL化・・・。
だが、レイの意志がキールの計画を妨害した。レイはリリスと融合した後、自分の意志でシン
ジの元へ行き、シンジの崩壊しかけた自我をカヲルの姿を利用して癒やした。
そのおかげで、シンジはぎりぎりの所で再び自分の意志を取り戻すことが出来る。それは「も
う一度みんなに会いたい。」という気持ちとなって現れたのである。そしてシンジは、キール
の最終目的である「全人類の肉体と魂を一つの完全な単体にする。」ことを拒むのである。こ
の為、全人類は「自らの心で自分自身をイメージできれば、誰もが人の形に戻れる。」という
極めて不安定な状態に陥るのである。
つまり人類は、肉体はLCLの状態に還元して1つになったが、魂までは一つにならず、個人
と言うものが存在していて、その個人個人が人の形に戻りたいと思うのならば、いつでもシン
ジとアスカの様に人間に戻れる。という非常に都合の良い状態になったと思われる。
結局、誰の人類補完計画が実行されたのか?
キールの計画では、魂も1つになるはずであった。おそらく彼はLCLになった後、ゲンドウ
とばったり出会って驚いていることだろう。
ゲンドウはレイに腕をもぎ取られたあげくに置き去りにされ、召喚された初号機に頭から食わ
れるので、失敗だったことに間違いないであろう。
最終的には碇ユイの永遠に人の意志を残すという人類補完計画が実行されたのである。
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ビデオ11巻で追加されたシーン
今回発売されたビデオ版EVA11巻は、DEATH編で使われたシーンや、新しく作られた
シーンが数多く追加されていた。特に『ネルフ、誕生』の方は、今までの考察をやり直さなけ
ればならない程の重要なシーンがいくつか追加されていた。
ここでは、その中でも特に重要と思われるシーンを紹介する。
第弐拾壱話 ネルフ、誕生
・DEATH編の冒頭のシーン(セカンドインパクト時の南極の様子)に、ノイズ処理したものが
ビデオ版の一番最初に追加された。
この画像は途中できれてしまい、国連の『TOP SEACRET EYES ONLY』の文字が表示される。
・2002年に愛知県の豊橋市跡で冬月がもぐりで医者をしていたエピソードが追加されている。
・地球上に季節が無くなったことをさらに強調している。
・セカンドインパクトの調査内容
「エリアを特定した大気成分の変化。」
「微生物に至るまで、生命体の徹底した消失。」
「爆心地地下の巨大な空洞跡。」
の3点が追加。
・冬月がゲンドウに連れられて初めてジオフロントに潜ったシーンで、
冬月: 「南極にあった地下空洞と同じものかね。」
ゲンドウ:「データはほぼ一致しています。」
冬月: 「あの悲劇をもう一度起こすつもりかね!君たちは!!」
ゲンドウ:「それはご自分の目でお確かめ下さい。」
と言うセリフが追加。
・アダムのサンプルを加持がゲンドウに横流しした事を表すセリフが追加。
・予告編の変更。
第弐拾弐話 せめて、人間らしく
・駅のホームで加持に携帯電話をかけるアスカ。つながらない。
ふと向かいのホームに目をやるとシンジとレイが楽しそうに話してる。
「この間まで1ヶ月もエヴァに溶け込んでいたくせに、なによ!
すっかり元のさやに戻っちゃってさ。
どうせ私は負けたわよ、あんたなんかに!」
と言うアスカの心の叫びが追加。
・アスカが使徒に精神攻撃を受けたとき、TRUE編でカットされたアスカのシーンが
追加されている。
・零号機がリリスからロンギヌスの槍を引き抜くと、リリスに足が生える。
(DEATH編のシーン)
・ロンギヌスの槍が投げられたとき、槍は雄叫びをあげながら飛んでいく。
使徒のATフィールドを貫く際、槍が変形して『えら』のような物が確認される。
・予告編の変更。
今回の変更点から考えられること
・セカンドインパクトの爆心地の地下に球状の空洞があり、それがネルフ本部がある
ジオフロントと同じ物であることから、アダムにもリリスと同じように卵があると思われる。
・ゲンドウはゼーレに内密でアダムのサンプルを手に入れた。
・ロンギヌスの槍にえらの様な物があったり、雄叫びをあげる事から
槍は生命体であると思われる。
WHITE MOON 〜白き月〜
WHITE MOON
ビデオ版EVA11巻を初めて見たときには見逃してしまったのだが、この作品中になんと
『 WHITE MOON 』の文字が出てくる。
この文字が出てくるシーンは『第弐拾壱話 ネルフ、誕生』で、冬月がセカンドインパクト
の資料を見直しているときモニターに爆心地の様子が映し出されるところだ。
画面の左上に少し見にくいが『 CODENAME: WHITE MOON 』と書かれている。
直訳すると「白き月」といったところであろうか?これはおそらくリリスの卵である『黒き
月』に対応させてネーミングされたのであろうか?
リリスの卵が何故『黒き月』と言われているのか、これには歴とした理由があった。
占星術の世界では『仮想惑星』という概念が存在する。
これは「科学的には存在しないが、透視術などの霊的方法で見られる惑星が太陽系の中に数
多く存在する。」という概念である。
この仮想惑星の一つにリリスという名称が付けられている。これは地球の仮想惑星であり、
『暗き月』、又は『黒き月』と呼ばれているのである。
しかし、白き月に関しては何の資料も無い。
よってWHITE MOONはリリスの卵、黒き月に因んで後からネーミングされたのであろう。
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